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よろず短文置き場。 ジャンル・カプは、カテゴリ・タイトル等から推測して下さい(不親切)。
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2024.05.04Saturday
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鋼 ・ ロイエド
2009.02.28Saturday

小さな音を立てて、エドワードは部屋に侵入する。照明もなく闇に沈んでいる筈のその部屋は、白い壁に囲まれている所為か、何処か明るい。
部屋の隅、窓に添うようにして誂ているベッドの上に人影を認めて、静かに歩み寄った。

目的の人物は、そこで静かに眠っていた。
命に別状はないと既に聞かされてはいたが、その寝息が穏やかでしっかりしたものであることを確認してようやく安堵の息を吐く。それ程までに彼が――ロイが巻き込まれた爆発は大きいものだった。
その激しさを物語るように、見慣れた端正な顔の、左頬全てを覆うようにガーゼが当てられている。その他にも小さな傷が数多くあることに気付いて、エドワードは表情を歪めた。

……本来なら、これはエドワードが負う傷だったのだ。


ロイも彼の部下達も隠していたが、爆発を起こしたテロリスト達が当初狙っていたのは、鋼の錬金術師だった。そこにどんな意図があったのかまではエドワードは知らない。
だがエドワードは自身の知らないところでロイに庇われ、その所為で彼が怪我を負ったことは事実だった。


「……ばか、じゃねぇの」


搾り出すような声で呻く。事の顛末を知ったとき、エドワードの身体は恐怖で凍り付いた。守られた嬉しさなどよりも、何も知らない内に自分の所為でロイを失うかもしれない怖さに襲われた。

やめて欲しかった。そんなことをしないで欲しかった。
錬金術師である自分は一般軍人と同等以上に戦えるのだから、そう扱って欲しかった。彼を一人で苦しませるくらいなら、一緒に怪我をして笑い合いたかった。
……ロイが、それを許さないことも分かっていたけれど。


いつの間にか零れ出していた涙は、堰を切ったように止まらない。ぽたりぽたりと床を濡らしていく。
例えロイの行動がエドワードを気遣ってのものだとしても、エドワードにはそれを優しさや愛情だとは認めることは出来ない。
失う恐怖に怯えたまま、ただ静かに泣き続けた。



(どうせなら、一緒に傷付かせて)






僕が傷つくからって本当のこと言わないで、君はずっと傷ついてるんだろう






+++++++

いちゃらぶが書きたい筈なのに、何でかこんな薄暗い話に。



title by 確かに恋だった

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鋼 ・ ロイエド
2009.01.27Tuesday

大佐は大人で、自分は子供だ。


エドワードにとって、それは今まで何度となく思い知らされてきた事実だ。そして、上司と部下から恋人という関係に変わって以来、それが頻繁になっている気がするのだ。

例えば、視線を向けられる度に。見慣れない仕種を目にする度に。
そして。

その手が、自分に触れるのを躊躇う度に。


どうにか初めてのこの想いを認めて、彼の想いを受け入れて。
紆余曲折を経て、やっとそこに辿り着いたのだ。その場所に立って、ようやくロイと並べたと思った。対等になれたと思った。

だが、違ったのだ。
確かにエドワードとロイが互いに抱く感情は同質のものだった。それでも、全く同じではなかった。
相手の傍で笑い合えて、たまにじゃれるような触れ合いがあって。エドワードが望むものはそういったものだった。それで充分だと思えた。
しかしロイの抱いているものは違う。彼の操る焔のように、もっと深く激しいものだ。

その差がエドワードに触れることをロイに躊躇わせていることに、エドワード自身もいつしか気付いていた。
大人だからこそ異なる想いを、大人だからこそ押し止どめているのだと。

その確信は何故かエドワードの中に切なさや悲しみでなく、甘やかさをもって存在する。まるで、それこそが愛されている証かのように。
その差が、とても愛しいもののように感じられるのだ。



(だって、あんたがそこで待っているのは)






私の気持ちはついていけていないきっと今も






+++++++

話の最初と最後だけ浮かんだので無理矢理くっつけたらこんなんなりまし、た……ぎゃふん。
というか、何だか尻切れっぽい……ぎゃふん。



title by 確かに恋だった

鋼 ・ ロイエド
2008.10.24Friday

本気で嫌いだと思ったことなんて、唯の一度だってない。

顔は良いけど性格は悪くて、会えば人のコンプレックスを刺激するようなことしか言わない。仕事だって出来ない訳じゃないのにサボり魔で、ホークアイ中尉に迷惑かけてばかりだ。
器用で何でもさらりとこなすくせに、肝心なところは不器用。
優しいけど決して甘やかしはしなくて、いつでも一歩も二歩も前にいて。

腹が立ったことも、殴り飛ばしてやりたいと思ったことさえ何度もある。
それでも、エドワードはロイを本気で嫌いだと思ったことなどないのだ。


そんなロイが、エドワードのことを好きだと言う。
表情が極たまに見せる真剣なものだったことから、その言葉が揶揄や冗談の類でないことはすぐに知れた。

……何と、答えれば良かったのだろう。

恋愛経験の乏しいエドワードには分からない。分からないから、悔しさと気恥ずかしさと、そんな感情のままに口走ってしまった。

嫌いだ、と。


言った瞬間、しまったと思った。ロイは無理矢理自分の想いを押し通すような人間ではない。拒否すれば、引くだろう。
エドワードはロイの悲しそうな顔は見たくはなかったし、笑ってなかったことにされるのも嫌だった。
嫌いではないのだ。嫌いと言ってしまったが、嫌いではないのだ。

エドワードの言葉を聞いたロイの反応は、そのどちらでもなかった。
ただ、困らせて悪かったね、と。淋しそうな表情で笑っていた。


その表情を思い出すだけで、エドワードの胸は酷く痛む。あのときに何と返せば良かったのか、未だに答えは出ない。
それでも、彼をあんなに傷付けておいて、当たり前のように傷付いてみせる自分は勝手だと分かった。



(この一言を告げていたなら)






あなたが嫌いと言ってみたら自分まで傷ついた






+++++++

すれ違いのようなロイエド両片思い。



title by 確かに恋だった

鋼 ・ ロイエド
2008.09.30Tuesday

いつから、平気になってしまったんだろう。


人の波間に見えた、あの男の姿。見えたのは一瞬だったけれど、見間違いではない。
そう確信出来る自身に対して、エドワードは暗い笑みを零した。
そう、見えたのはあの男だけではなかった。もう一人、あの男に寄り添うように歩いていた女性の姿。


――いつものことじゃないか。


自分に言い聞かせる。
そう、エドワードがロイの浮気現場ともいうべき場面を目撃するのは、これが初めてではないのだ。共にいる女性は一定ではないものの、自分の知らない人と自分の知らない内に自分の知らない顔で過ごしているのだ。

そのことを知った当初は、エドワードとて平静でいられなかった。仕事の一環だと弁明するロイに対して怒って詰めよりもしたし、一人で泣いたことだってあった。理解はしても、納得出来なかったのだ。
それは自身が子供である故だと思っていた。あの男を信じられない弱さの所為だと思っていた。だが、違った。嫌だと思ったのも、許せないと思ったのも、エドワードがロイを好きだからなのだ。

だからこそ、思う。
何故、いつから、平気になってしまったのかと。
そう、もうこの胸は痛まない。悲しみとも怒りともつかない衝動に苛まれることもない。多少自嘲が漏れてしまうこともあるが、それだけだ。もう、エドワードの心が揺さぶられることはない。

好きだからこそあった胸の痛み。それを失った自分。
それが示す意味に気付きたくなくて、ロイが消えていった方向と逆の道へ、思考を振り切るように足を踏み出した。





(気付いてしまった答えに目を背けて蓋をするんだ)






恋ごころと胸のいたみ 消えたのはどちら?






+++++++

何だろう…これ…。



title by 確かに恋だった

鋼 ・ ロイエド
2008.08.18Monday

これは、ささやかな意地と、ちっぽけなプライドなんだ。



「好きだよ」

さらりと告げられる台詞。
目の前でにっこりといけ好かない笑顔で、オレに向かって放たれた言葉。
それを綺麗に無視して手元の本のページを捲れば、つれないね、というさほど残念そうでもない言葉と共に溜め息が吐かれた。
だが、それすらも無視してやる。

大佐の言葉に真実なんてない。こういった色恋沙汰に関することなら尚更だ。
まるで言葉遊びをするように、心にもない言葉を並べて、それが本心かのように告げてみせる。
そんな言葉を真に受けたら、馬鹿を見るのは自分だ。
だから、何を言われたって何の反応だって返してなんかやらない。あんたのものになんかなってやらない。

あんたは、絶対オレを選ばない。
最後にオレの手を取ることをしない。

……だから、オレもあんたを選ばない。
選んでなんか、やらないんだ。


こんなの、目覚めかけた恋を押し込めようと足掻いているだけの愚かな行動だと分かってはいるんだ。
それでも認めることは出来ない。

届かない手に、絶望するのが怖いんだ。





+++++++

シリアスっぽいロイ←エドのようなむしろ大佐に籠絡されかけてるエドさんというラブ落ちのような。
……何か前にも似たような話を書いたような覚えが……(お前)。

最近更新がさっぱりなロイエドですが、まだまだ好きなカプなのです。

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