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よろず短文置き場。 ジャンル・カプは、カテゴリ・タイトル等から推測して下さい(不親切)。
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2024.05.04Saturday
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BASARA ・ 幸←佐←政?
2007.09.07Friday

ふと。
沈んでいた筈の意識が浮上する。
映る視界には、見覚えのない部屋。

あぁ、ここは自身の構える青葉城ではない。
甲斐の、――上田城だ。
同盟の締結以来、度々訪れる城。
今回も、武田信玄との会合後の宿としてこの一室を提供されている。

閉じた襖の隙間から零れる光に誘われて開けば、美しい満月が覗いた。
思わず簡単の声を洩らしそうになって、――何かが引っ掛かった。
この幽玄な景色にそぐわないもの。
それは――

「…Shit」

微かな、血の臭い。
これが眠りから覚めた原因だろう。
政宗も、奥州を与る者として、いつ狙われてもおかしくない身だ。
当然、こういったものには敏感になる。
そして、気付いてしまったら放置してはおけない。
臭いの元を確認するまで、安心して眠りに就くことなど出来はしないのだ。
因果な生き様だ、と低く毒づいて臭いの濃い方へと足を向けた。

血臭の元は、すぐに知れた。
古い、誰も使っていないような井戸に、人影があった。
月明りの下でも映える、橙の髪。
この血の臭いは、彼からだ。

「…客人がこんな時間にうろうろするもんじゃないよ」


声を掛けたものかと迷っていたら、意外にもあちらから話しかけてきた。
振り向いたその頬には、赤。
その色を凝視していると、あぁコレ?などと軽く笑う。

「何かさー懲りもせず真田の旦那を暗殺しようとしてる馬鹿がいるみたいでさ。おかげで俺様超大変」

こんなの給料に入ってんのかな、と笑う。
その表情に僅かな陰りを見出だしてしまうのは、それだけ自分が彼を見ていることの証だろうか。

出会ってからそんなに経っている訳ではない。
その間に会うことも話すことも、数える程度しか機会はなかった。
そんな自分でも分かる。

――あぁ。無理しているのだと。

戦忍として生き、戦場では誰よりも武功をあげるこの男は、その実、誰よりもまともな神経の持ち主だ。
人が死ぬのを嫌い、殺すことを厭う。

それでも。
あの主のためならその手を汚すのだ。
何も知らない主のために、一人血を被り汚されていくのだ。
この男ばかりが。
そして自分のために汚れてしまった人間がいることも知らず、あの呑気な主は笑うのだろう。

……それが、妙に腹立たしかった。



+++++++

すいません着地点が見つからない…!!
ので、萌え所がないまま切ってみる(最低)。
つか説明に行数使い過ぎた…。
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