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よろず短文置き場。 ジャンル・カプは、カテゴリ・タイトル等から推測して下さい(不親切)。
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2024.04.24Wednesday
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TOV ・ レイ←ユリ+フレエス(仮)
2014.05.25Sunday
※学パロ




「青年って、器用そうにみえて不器用っていうか、損しちゃう性質よね」

 突然自身の真横から聞こえた声に、ユーリは驚きから身を引く。その反応を見てにやにやと笑う男を睨むが、ごめんごめんなんて全く悪びれない口調で謝罪してきた。そこらの不良なら一瞥で怯ませることの出来るユーリの眼光も、このうさんくさい化学教師には全く効果がない。いや、そもそもそんな輩に向けるような冷たい視線をこの男―――レイヴンに向けられているかは疑問だったが。いや、恐らく出来てはいない。
 今更な事実に一つ溜息を吐いて、男へと向けていた顔を再び窓の外に見えるグラウンドへと向ける。下校時間が迫った今、そこには校門へと足を進める生徒たちの姿がある。その中の、楽しそうに会話を交わす二人に視線を止めた。ユーリの幼馴染で生徒会長でもある金髪の男子生徒と、何故だかユーリに懐いた妹分のような桃色髪の女子生徒。元々生徒会関係で面識があった二人だが、間にユーリを置いたことで更に親しくなったようだった。最近では二人でいる姿をよく見る。付き合ってはいないようだが、それも時間の問題ではないかとユーリは思っている。

「あらら、仲良さげ……いやいや、青春やね」

 ユーリの隣で同じように二人を眺めながら、白々しくレイヴンが言う。先程の台詞からしても、ユーリが誰を見ていたかなんて分かっていただろうに、さも今気付いたかのように装う態度に眉を顰めた。

「何が言いたいんだよ」
「んー? 青年はこのまま二人を放っといていいの?ってこと」
「っ……」

 一瞬、呼吸が止まる。どうやらレイヴンは、ユーリが二人のうちどちらかに想いを寄せていると思っているらしい。そのあまりの勘違いを正す気力もなく、ユーリはただ俯いた。
 黙り込んだユーリをどう思ったのか、苦笑を浮かべながら宥めるようにユーリの頭を撫でてくるレイヴンの手つきに苛立ちが顔をのぞかせるが、その手を振り払うことは出来ない。しょうがない、どうしようもないくらいユーリはこの男に惚れてしまっているのだ。教師と生徒で、男同士で。困らせることが分かっているから伝えることが出来ずにいるが、好きなのだ。子供扱いでもなんでも、その手に触れてもらえるなら許容出来てしまう程に好きだなんて、レイヴンは夢にも思っていないに違いない。

「周りをよく見てて、大人に立ち回れるのは青年の長所だし、それに助けられてる子もいっぱいいるだろうけどさ。青年だってまだ若いんだから、ちょっとくらい我儘言ってもいいんでない?」
「……」
「大人ぶってばっかじゃなくて、欲しいものはちゃんと手を伸ばさないと届かねぇわよ」

 いつになく真面目な声音で伝えられた言葉に、ユーリは目を見開く。
 手を、伸ばす。今の今まで、諦めて無いものとしてきた選択肢を拾い上げて提示され、それを選ぶことを許容されて。それが意味するところがレイヴンの思っているものと全く違うなんて、全くレイヴンは分かっていないだろう。でも、それを差し出したのは、彼だ。
 わがままを、欲しいものに手を。なら。

 僅かに震える指先を、目の前の白衣に伸ばす。
 震えを抑え込むようにゆっくりとその硬い生地を握り込めば、翡翠色の瞳が丸くなるのが見えた。





きみを困らせる僕になりたい

(そうすれば何か変わるだろうか)


+++++++

久しぶりにVをプレイしたらおっさんが好き過ぎてつらい



title by 確かに恋だった
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T&B ・ 兎虎
2013.01.26Saturday
いつもの喧嘩だと、思っていたんだ。



 公私共にバディとなって随分経つが、根本的に僕達二人は正反対の性格をしている。だから小さな喧嘩はしょっちゅうだ。他愛のないことで揉めては、喧嘩をしていることにお互い気まずくなって、どちらからともなく謝って仲直りのキスを一つ。それで終わるような諍いだ。端から見たら喧嘩ばかりかもしれないが、僕らは恋人としても上手くいっていた。
 だから、その日の喧嘩だって同じだと思っていた。きっといつもと同じ、明後日にはいつもの僕らに戻っているだろうと。

 そう、僕は彼に甘えていたんだ。だから、自分の苛立ちを優先させて彼に背を向けた。
 だから、彼がーーー虎徹さんが、いつもとは違う、傷付いた表情をしていたことに気付けなかった。



 僕と虎徹さんが喧嘩をした夜から、今日で2週間。こまめに喧嘩するが、その期間は精々3日だった僕達の喧嘩最長記録だ。いつもなら、感情を溜め込むのが苦手な虎徹さんが僕に怒りを爆発させ、僕もそれに応えて不満を吐き出し、それで収束に向かっていたのだが、今回は虎徹さんの様子が違う。僕に声を荒げたりしない。その代わり、凍えるように冷たい視線で僕を見据えてくる。そんな彼の態度にどう反応したらいいのか戸惑っているうちに、事態は思わぬ方向から横槍が入った。
 ぐしゃり。手の中で握り潰した雑誌の表紙で踊っていた文字を思い出す。曰く、「人気ヒーロー・バーナビー、共演女優と熱愛発覚!?」。それが全く根拠のないデマであることは、誰より僕自身が分かっている。常ならこんな記事、笑い飛ばしてくれる恋人だが、今回はどうだろうか。何せ、いつもとは様子の違う喧嘩の真っ最中なのだ。有り得ないとは思うが、万が一僕が浮気したなんて誤解されたりしたら。

 嫌な想像を振り払うように、勢いよくヒーロー事業部のドアを潜る。事務の女性は席を外しているのか、室内にはこちらに背を向けた虎徹さん一人だった。きっと今日も返事は返ってこないのだろうと思いつつも朝の挨拶を口にすれば、少しの間の後に、おはよーさん、というやる気のない挨拶が返ってきた。
 その事実に驚いて、それ以上に嬉しくて、その顔を後ろから覗き込んでーーー息を呑んだ。
 何だよ、と怪訝そうにこちらに顔を向けた虎徹さんの視線に、いっさいの熱も感じないのだ。怒りの熱さも、愛情の暖かさも、軽蔑の冷たさも、何もない。0℃の、何の感情も込められていない、視線。

 どうやら、事態は悪化の一途をたどっている。どうにか、しなければならない。
 虎徹さんを手放すなんて真似は、僕に出来る筈ないのだから。





++++++

喧嘩バディに悶えたはいいけれど、虎徹さんが本気でで怒る理由がしっくりこなくて挫折した話

T&B ・ 兎虎 兎の初恋ネタ半ば捏造
2012.05.05Saturday
「お前の初恋の子ってどんな子だった?」

汗を流しはしたが、情事の後の気怠い雰囲気を纏ったままそんな言葉を口にした恋人に、僕は目を瞬かせた。突然どうしたのかと考えを巡らせて、すぐ一つの可能性に行き当たる。

「あの雑誌、僕のインタビューも読んだんですね」

湿ったままの髪をタオルで拭きながら虎徹さんが横になっているベッドに腰を下ろせば、楽しそうな声で肯定の返事が返ってくる。
あの雑誌というのは、少し前にヒーロー全員で受けたインタビューが載っているものだ。ヒーローの素顔を探るべく、かなりプライベートに踏み込んだ質問も多かったのでよく憶えている。確か、その中で初恋の人についての問いもあった。

「どんな子も何も……あのインタビュー以上の情報はありませんよ。アカデミーを卒業して以来、会ったこともないですし」
「せめて可愛かったとか優しかったとかさ、何かしらエピソードあるだろ」

そう言われて霞がかっている記憶を探るが、どうにもその姿を思い出すことが出来ない。自分は記憶力が悪い方ではないのに全く思い出せないということは、その程度の記憶だったということだ。少なくとも、当時の僕にとっては。
……ただ一つ、ぼんやりと憶えているのは。

「……母に、似ていましたよ。顔とかではなく、雰囲気が」

そう、だからきっと僕は彼女を気にかけていたんだ。今はもういない、あの温かで理知的な面影を重ねていた。
今思えば、きっとあの初恋は恋ではなかったのだろう。ただ、思い出に縋っていただけだった。

「……ふーん」

小さな呟きに、はっとして視線を上げる。知らず思考に沈んでいたらしい。
視界に収めた虎徹さんは穏やかな優しい笑顔で、まるで子供の成長を喜ぶ親のような表情をするものだから、僕は居た堪れない気持ちになる。
きっと、虎徹さんは、僕も多少は復讐だけじゃない青春を送ってきたのだと嬉しく思っているのだろう。だが、僕は虎徹さんの恋人であって、子供のように扱われることを望んでいない。そもそも、ついさっきまで二人で行為に及んでいたというのに、何故こんな話をしなければならないのか。

そう思うと何だか腹立たしく思えてきた。……少しの仕返しくらい、彼は許容するべきだ。
そう決めて、その下着一枚の身体に覆い被さるように自身の上半身を傾けると、嫌な予感を察知したのか、虎徹さんがぎくりと肩を揺らす。だが、逃がす気はない。







T&B ・ 現パロ
2012.03.25Sunday
「……ここ、か」

ようやく見つけた目的の店の前で、バーナビーは一つ溜息をついた。
路地の奥にある、こじんまりとしたカフェ。こんな場所をよく見つけたものだと、知らず溜息がもう一つ零れる。

そもそもバーナビーがこのカフェを探すはめになったのは、自身の隣の家に住んでいる少女――カリーナが原因だった。
一般的に幼なじみと言われる関係であり、近所の奥様方からは恋人同士かと噂される二人だが、実際のところは犬猿の仲だ。幼なじみと呼ばれることすら遠慮したいとバーナビーは思っているが、それは恐らく相手も同じだ。会えばしかめっつらを向け合う人間と恋仲になどなる筈もない。嫌悪感はなくウマが合わないというだけではあるが、無理なものは無理だ。

さておき、そんなカリーナが最近足繁くこのカフェに通っているという。彼女に目当ての男が出来ようが、正直バーナビーにはどうでもいいのだが、好きにしろと放っておけない理由がある。
カリーナは、美人だ。まだ高校生だが、外見は大人びていてあちらこちらにファンもいる。その所為でトラブルに巻き込まれることもあり、その処理をバーナビーがさせられたことは一度や二度ではない。彼女が悪い訳ではないとはいえ、面倒事は御免なバーナビーにしてみればいい迷惑だ。
だから今回、カリーナが通っている店の存在を母親経由で聞いたバーナビーは、自衛のためにこの店を訪れたのだった。つまり、彼女が通う原因が自分の面倒に繋がらないか、確認するために。


木製のドアを押せば、カランと金属音が響く。見回した無人の店内にあるのはカウンター席が5つと4人がけのテーブルが二つ。店主の趣味なのか、使い込まれた木製の家具が多く何処か古びた印象を与えるが、清掃は行き届いていて好感が持てる。落ち着いた空気に目を細めていると、ドアベルの音を聞き付けたのか、カウンターの奥のドアから男が顔を覗かせた。

「……あれ? お客さん?」

何故か不思議そうに尋ねる男に頷きを返せば、嬉しそうに好きな席に座るよう促される。まさか、この男がカリーナの想い人だろうか。特徴的な髭をしたその男は、作る表情や仕種こそ子供っぽく感じるものの、物腰からすると自分よりだいぶ年上に思える。バーナビーが大学生なのだから、恐らく30代だろう。






T&B ・ 兎虎
2011.11.20Sunday
「なぁ、なんでお前は俺じゃなきゃ駄目なんだよ。俺以外だっていいだろ」

情事の後の気怠い空気を纏ったまま、そんな言葉を吐き出した虎徹に、バーナビーは眉を寄せた。枕に俯せになった表情は窺えないが、その声だけで分かる。何か、原因は分からない何かに不安になっているのだろう。
きっとその不安感は、虎徹が悪い訳でもバーナビーが悪い訳でもない。大切なものを失う恐怖を知っている以上、影のように纏わり付いてくるものなのだ。
バーナビーとて両親を失っているが、自分の喪失と虎徹の喪失は質が違うものなのだと思っている。バーナビーは失ったそのとき、幼かった自分を、非力な自分を憎んだ。しかし虎徹は、そのとき既に大人で能力だってあった。それでも何も出来なかった、無力な自分を知っているのだ。
だからこそ、いつまでたっても拭えない不安がある。それはもう仕方がないことなのだろう。そんなところも含めて彼を愛しているのだから、今バーナビーがするべきは、彼の不安を少しでも取り除くことだ。例え、それが一時凌ぎに過ぎないとしても。

「……そうですね。もし、あなた以外にもあなたがいて、……あなたが僕から離れたいと望むのなら、そのもう一人を選んでも良いです」

ぴくり、バーナビーの言葉に裸の背中が揺れる。だが、まだその顔は埋められたままで言葉も返ってこない。
そんな虎徹に小さく笑みを零しながら、艶やかな黒髪に触れる。

「でも、あなたはあなたしかいない。あなたの他にあなたはいない。だから、僕はあなたを選び続けますよ、虎徹さん」

そう告げると、投げ出されていたその腕がバーナビーへと伸ばされる。優しく搦め捕ると、ようやく枕から上げられた顔がバーナビーの胸元へと埋められた。
普段弱いところを見せない虎徹の唯一の甘えを、彼ごと抱き締めてバーナビーは笑った。

(じゃあお前はずっと俺のものだと涙を零したあなたと、当然ですと笑った僕)


+++++++

からのエビちゃん登場とか萌えるよねという完全なる自分得!
いない筈だったもう一人の自分なエビちゃんに動揺する虎徹さんとか自分得以外の何物でもないよ……!
たまに不安定になる虎徹さんとかも好きなのです。


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