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よろず短文置き場。 ジャンル・カプは、カテゴリ・タイトル等から推測して下さい(不親切)。
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2024.05.04Saturday
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T&B ・ 兎虎
2011.10.31Monday
「なぁ、バニー、本当に大丈夫だって」
「いいから、あなたは大人しくしてて下さい」

何処からか引っ張り出してきたボストンバッグに、てきぱきと俺の服やら何やらを詰め込んでいく相棒の背中を見下ろしながら、俺は一つ溜息を零した。

事の起こりは数時間前、それはほんの些細な事故だった。頂き物だという果物をロイズさんから貰ったので、俺は給湯室にあったナイフを借りて皮を剥いていた。その俺の腕に、たまたま通り掛かったバニーがぶつかってしまったのだ。その角度が悪かった。普段使われてない割に切れ味の良いナイフは、果肉ではなく俺の指の上を滑り、肉を刔ってしまったのだった。
傷口はそんなに大きくなく、深さも縫わなきゃいけない程でもない。それでも止血のために、切った中指は上から下まで包帯でぐるぐると巻かれている。その様を見て顔を青ざめさせたバニーは、怪我が治るまでの間、俺の面倒を全て見ると言い出した。

その結果が今だ。俺がバニーの家に泊まり込むための準備を、甲斐がいしくこの相棒は進めていく。確かにこの怪我の所為で多少は不便だが、何から何まで面倒見てもらう必要はないし、何日かすれば包帯だって取れるだろう。だからこんなに大騒ぎすることはないと俺は思うのだが。

(怪我させたバニーからすれば、そうも言ってられない、か)

きっと責任を感じてしまっているのだろう。元より言い出したら聞かない質なのは充分過ぎるほど知っている。これは自分の方が腹括って付き合ってやるかと決めれば、ようやく荷物を詰め終わったバニーがこちらを振り返った。

「必要なものは全て詰めたと思いますが……確認してもらえますか」
「ん、……オッケ、揃ってる」

几帳面な性格を示すように綺麗に詰められたそれを見てから、バッグの口を閉じる。それを手に玄関へ向かおうとすると、さりげない仕種でバッグを奪われた。
奪った本人は何食わぬ顔で、行きますよ、なんて笑っている。

「ちょ、バニー! それくらい自分で持つから!」
「良いんです。だって、」

そこで一度言葉を切ると、バニーは俺の両手に視線を向けた。

「左手は怪我しているでしょう。なのに右手に荷物を持ってしまったら、僕と手を繋げないじゃないですか」

そう言いながら、まるでダンスを誘うかのように俺に手を差し延べてくる。






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T&B ・ 兎→虎←兎
2011.09.19Monday
*にょバニちゃんが増えた話の続き




部屋全体に、気まずい空気が流れていた。いや、実際のところ、気まずいと感じているのは俺だけで、残りの二人は険悪な空気を醸し出しているのだけれど。
何故か男の方のバニーは俺を背後からしっかり抱き締めているし、女の方のバニーはその細い腕や手からは信じられないような力でがっしりと俺の両手を掴んでいる。そんな二人の背景は、ブルーローズも真っ青な豪雪地帯ブリザード。柔らかな太陽光を蹴散らすような冷たい空気をお互いぶつけ合っている。
背筋が凍るような状況で訳も分からず板挟みになっている俺としては早く打開策を見つけたいのだが、今までの経験上、ここは大人しくしているのが吉だ。少なくとも、男のバニーに関しては。

「……お前は、何者なんだ。どうして虎徹さんのシャツを着ている!?」

…………えっと、さ。
現状の打破、それが無理ならせめて状況の把握をしたい俺としては、男のバニーが口を開いたことは有り難い。でもさ、バニーちゃん。気にするところ違うよな? いや、正直な話、俺もそれ気になってたけど。突っ込みたかったけど。
そう、今の俺と男のバニーは、まぁ何と言うか、昨夕の名残で下着一枚にシーツを被っているだけの姿な訳で。そして女のバニーは、恐らく脱ぎ捨ててあったであろう俺のシャツ一枚のみを羽織った姿なのだ。……何なんだ、この状況。
男のバニーの鋭い口調の問いに答えて、女のバニーもようやく口を開く。

「そんなの、虎徹さんの服の方が良いからに決まってるでしょう? 虎徹さんの香りに包まれると、安心出来ますから」

ただし、理解不能な言葉を、問い掛けた男のバニーを無視する形で、綺麗な笑顔を俺に向けながら。

……どちらかと言えば、前半の問いに答えて欲しかった、と思うのは贅沢なのだろうか。あぁ、でも聞かなくても何となく分かった。理由はさっぱり分からないけど、この女は間違いなくバニーだ。この全くついていけない理論展開の仕方がそっくりだ。
一人でも手に余ってるのに、二人に増えるとか勘弁してくれ。そんな思いを抱えながら自分の斜め上にある男のバニーの顔を窺うと"それは理解出来るが許せない、今すぐシャツを返せ"と書いてある。俺には、そんなこいつら二人は全く理解出来ない。

………こんなときの為の夢オチだろうと自分で自分の頬を抓ってみるが、痛いだけで何も変わりはしなかった。



+++++++

ごめんなさい……!
T&B ・ 兎虎?
2011.09.18Sunday
*会話文のみの短文





「………」
「………」
「……ちゃんと聞いたか、バニー」
「……はい。認めたくは、ないですが」
「だが……これが事実だ」
「そのようですね……いや、でも」
「いい加減にしろ、バニー! 科学的な裏付けもあるんだ、認めろ!!」
「ですが! ……僕は、虎徹さんのことを、思って」
「……分かってる。お前が俺のことを思って言ってくれてるのは分かってるさ。だがな、これだって一つの事実だ」
「……虎徹さん……。僕だって分かってるんです。こんなことを聞かされて、その効果を無視することは出来ません。でも、その弊害も確かに存在するんです。それだってまた一つの事実です」
「バニー……」
「虎徹さん……」


「だから! いい加減に俺にマヨを食わせろ! いっそ飲ませろ! ちゃんとブロッコリーも食うから! 老化予防もするから!!」
「駄目です! あんな高カロリーなもの摂ってメタボになって、あなたのエロい腰が失われたらどうするんですか! 人類の損失です!」
「意味分かんねぇよ! とにかく俺はマヨの禁断症状だ摂取させろ!!」
「だから駄目ですってば!!」



+++++++

某番組でブロッコリー+マヨ→老化予防効果とか紹介していたもので、つい。
オチなんてものはないよ!


T&B ・ 兎虎……?
2011.09.18Sunday


・朝起きたら、にょバニちゃんが増えていました
・残念なハンサム→苦労人おじさん←残念な美女
・バニーちゃん同士は仲が悪いよ!


そんな話です。
ついカッとなってやった。後悔はしていない!



→いく?




T&B ・ 兎虎
2011.09.09Friday
カシャカシャという連続音と光の洪水。既に慣れてしまったそれらに、バーナビーは完璧な作り笑顔を向ける。小さな感嘆の息の後に続けられた、カメラマンのお疲れ様の一言で現場の空気が柔らかく緩んだ。
撮影のセットから下りると、すかさず若い女性スタッフがタオルとミネラルウォーターのボトルを手に駆け寄って来る。頬を染めている彼女に営業用と揶揄される笑顔で対応し、礼を言ってそれらを受け取った。
彼女はもう少しバーナビーと言葉を交わしたいのだろうが、他のスタッフに呼ばれればそういう訳にもいかない。名残惜しそうに背を向けた彼女を見送りながら、心の内では彼女を呼んだスタッフに感謝する。グラビア撮影の仕事も続けていく以上、カメラマンだけでなく、周囲のスタッフ達との関係を円滑にしておくことが重要なのは分かっている。だが、自身の想い人である虎徹以外にかけなければならない時間は、短ければ短い程良い、というのがバーナビーの偽らざる本心だった。
広くはないスタジオ内に視線を巡らせると、隅に設けられたソファーにその姿はあった。先に撮影が終わってしまって暇を持て余していたのだろう、その表情はどことなく不機嫌そうだ。そんな虎徹を見て、バーナビーの表情は思わず綻んだ。撮影用でも営業用でもない、自然な心からの笑顔を浮かべながら彼の元へ歩み寄る。

「お待たせしました。もう帰れますよ、虎徹さん」
「……………おう」

返された低い声に、おやと思う。確かにかなりの時間待たせてしまったが、それはいつものことだ。虎徹ももう諦めていて、撮影の仕事は嫌だとか減らしてほしいとか愚痴ることはあれど、ここまで機嫌を損ねることは最近はなくなっていたというのに。
そんなバーナビーの疑問を感じ取ったのだろう、言いにくそうに口ごもりながらも虎徹は言葉を発する。

「……なんで、そんな肌蹴てるんだよ」

ぽつりと、小さな声だったが確かに聞こえた。言われた意味を反芻しながら、今の自分の姿を思い出す。浴衣、といったか。今回の衣装は、着慣れないバーナビーにしてみれば、薄布一枚という酷く頼りないものに思えた。だが虎徹の故郷の民族衣装だと聞けば、その評価もひっくり返る。実際、虎徹が用意された衣装を着てみせたとき、この浴衣という服は彼の細身の身体に驚くほど似合っていた。そう素直に褒めれば、照れたような笑顔で、お前もな、と返してくれた。




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